薪ストーブのゆらめく炎は、体も心もじんわりと暖めてくれます。薪ストーブを囲んでゆったりとした時間を過ごすのは、極上のひとときです。
薪ストーブの魅力
現代は、ボタン一つで電源が入りリモート操作もできる暖房器具が普及しています。
そんな中でも、薪ストーブを導入されるお客様が多くいらっしゃいます。
タイマー予約できない。
薪を準備して焚べなければならない。
灰の処理や煙突掃除もしなければならない。
それでも心惹かれるストーブには、たくさんの魅力があります。
1. 五感で暖める
薪ストーブは、薪を燃料とする暖房器具です。
エアコンやファンヒーターは、石油や電気を利用して温風を吹き出し空気を暖めるのに対して、薪ストーブは薪を燃やした熱を利用して暖めます。
薪ストーブの炎は、熱で体を暖めるだけではなく、五感に心地よさを届け、体も心も優しく包み込むように暖めてくれます。
じんわりと体を暖める熱
薪ストーブには2種類の熱の伝え方があります。
輻射熱
遠赤外線などの電磁波が物質に当たることによって伝わる熱のことを輻射熱といいます。
太陽の熱も輻射熱で、温度の高い所から低い所に伝わる法則があります。
薪ストーブの場合、薪が燃焼した熱エネルギーで薪ストーブ本体を温め、本体から熱が放射されます。その放射熱(遠赤外線)が人体や室内の壁・床などを暖め、暖められた物質がさらに空間全体を暖めます。
薪ストーブからは大量の遠赤外線が放射されています。
私達が薪ストーブにあたると、輻射熱によって体表面が暖められ、その表面の血液が体内を巡ることで体がポカポカするような暖かさを感じることができます。
対流
暖かい空気が空間内を対流することで暖めます。エアコンがわかりやすい例です。
対流式の薪ストーブは本体構造が二重になっており、その間を通る空気を暖めて室内へ放出し、空間内を対流させて、部屋全体を均一に暖めます。
機種により輻射熱と対流の割合が異なるので、ストーブを選ぶ際のチェックポイントにもなります。
揺らめく炎
打ち寄せる波や風にそよぐ草花、木漏れ日や小鳥のさえずり…
自然界には、多くの人が心が落ち着くと感じられる「ゆらぎ」があります。
そんな心地よい不規則さを「1/fゆらぎ」といい、癒し効果があるといわれています。
薪の燃える炎もその一つです。
揺らめく炎を、時間を忘れてぼーっと見てしまった経験はありませんか?
思考する時間が多い現代では、自然のリズムに身を委ねて心癒される時間を無意識に求めている方が多いのかもしれません。
薪ストーブなら、自宅で気兼ねなくリラックスするひとときを体感できます。
薪の「はぜる」音
薪ストーブに薪を焚べると、パチパチと音を立てて燃えます。
よく乾燥した薪を使用すれば、大きく爆ぜることもなく、心地よい音を愉しむことができます。
薪の匂い
使用する薪の樹種によって、燃焼時に香りのするものがあります。
例えば、リンゴ・サクラ・ウメなどバラ科の樹種は甘い香り、ケヤキはお香のような深く甘い香りなどがあります。
ご縁があって手元に集まった薪は、さまざまな樹種が混じっていることがあるかもしれません。ぜひ香りや火持ちの違いを比べてみてください。
調理して食材を味わう
薪ストーブの醍醐味は、暖房機能だけではなく調理器具としても楽しめることではないでしょうか。
天板で、煮物料理の鍋をのせてコトコト煮込む。お湯を沸かして加湿する。
炉内では、じっくり熱を入れて焼き芋を作ったり、カリッとピザを焼き上げたり、オーブン代わりに使う。
薪ストーブの近くに干し網を置いて、乾燥野菜やドライフルーツをつくる。

薪ストーブの熱を有効活用すれば、手をかけずに食材の旨みを引き出すこともできます。
目の前で仕上がった料理を食卓に出せば、それだけで普段のメニューもごちそうになりますよ。
2. 人が集まる
キャンプの焚き火や囲炉裏の火、お祭の松明など、昔から人が集まる場で火を囲むことは多くありました。
暖をとりながらリラックスした時間を共有することで、自然体の自分が出せたり、仲間意識が芽生えるきっかけになるのかもしれません。
寒い日は、薪ストーブの前が特等席です。
薪ストーブに火を入れると、家族が自然と集まり時間を共に過ごすことが多くなります。それは人生をより豊かに彩るワンシーンになることでしょう。

3. 空間をデザインする
薪ストーブのデザインは多様です。
暮らしたい部屋のイメージには、どんな薪ストーブが馴染むのか想像するのも、薪ストーブ選びの楽しさの一つです。
また薪ストーブ本体だけではなく、周辺の遮熱部分のあしらいや各種ツール、薪置き場など、関連する箇所をどのように施工するか、アレンジするかで、空間の印象が変わります。
お気に入りの物で揃えられた空間は、それだけで心を満たしてくれます。
薪ストーブの存在は、理想の空間を演出してくれる力もあるのです。

4. 持続可能な自然エネルギーを使う
薪ストーブの燃料は薪です。
薪は、自然環境に負荷が少なく、持続的に利用可能な自然エネルギーです。
カーボン ニュートラル
木は光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素(C)を固定・生長し、酸素(O2)を放出します。
やがて、木は伐採・加工され、薪としてエネルギー利用する時に、二酸化炭素(CO2)を排出します。
排出される二酸化炭素は、木が生長する間に吸収した物であるため、大気中に排出される二酸化炭素の量は実質「プラスマイナスゼロ=カーボンニュートラル」ということになります。
薪やペレットなどの木質バイオマス燃料は、カーボンニュートラルな資源として注目されており、購入・施工の補助金を用意している市町村が数多くあります。
日本の山を活かす
日本は山地が多く、人の住む里に近い山林は「里山」として適度に人間が手を入れながら、持続的に利活用してきました。
現在は、山の所有者が様々な事情で管理できず、放置されてしまっている所も少なくありません。
例えば、実家に持ち山がある方が管理を引き継ぎ、間伐材を薪として利用したり、再び手入れをすることで、木々の間に光と風が入り、樹木を含む多様な動植物が生育しやすい環境をつくることができます。
薪ストーブを使うことは、日本の山を元気にする手助けにもなります。

5. 万が一の備えとして
地震や大雨などの自然災害は、いつ自分の身に起こるかわかりません。
もしもの時、薪ストーブが「いのちを守る」役割も持っているとしたら、心強いですよね。
電気やガスなどのライフラインが停止した状況で、薪ストーブは命を守る役割も担います。
電気を必要としない
薪ストーブは電源なしで稼働できます。
自家発電機がある場合は、暖房以外で電力が必要な部分に優先的に使用することができます。
暖房
特に冬季は東北地方も真冬日が続くことが多く、非常時の暖房確保はいのちに直結します。
薪を調達・保管する手間はありますが、それは手の届く所に燃料を保管できているという安心感に繋がります。
調理
食料があれば、天板や炉内で調理することができます。温かい食べ物は、気持ちも落ち着かせてくれます。
また積雪がある地域では、鍋に雪を入れて温めることで水を確保することも可能です。
照明
ガラス面から見える炎は、暗い場所では照明としてほんのり部屋を照らしてくれます。部屋全体を明るくすることは難しいですが、真っ暗な中で心細く朝を待つことはありません。
薪ストーブを稼働させるだけで、いくつもの働きをしてくれるので、非常時も心強い存在です。同時に、人も集まり「暖かい」「明るい」「おいしい」など、私たちの心も柔らかくほぐしてくれるソフト的なメリットも大きいかと思います。
非常時だからこそ、いつものように暖を取り、料理して、顔を合わせて会話するー。
薪ストーブなら、そんな小さな安心を提供してくれるはずです。
薪ストーブの魅力 まとめ
● 薪ストーブの魅力
1 五感で暖める
2 人が集まる
3 空間をデザインする
4 持続可能な自然エネルギーを使う
5 非常時でも使用できる
「薪ストーブは3度温める」
そんな言葉があります。
1度目は、薪割りをするとき。
2度目は、薪を焚べて暖をとるとき。
3度目は、薪ストーブの熱で作った料理を味わうとき。
薪ストーブはただの暖房器具だけではない、暮らしを支えて豊かにしてくれるパートナーです。
ぜひ、薪ストーブを囲む暮らしを想像してみてください。