薪ストーブは、昔ながらの暖房器具でありながら、環境に優しく心地よい暮らしを実現するアイテムとして再注目されています。
しかし、導入にはメリットとデメリットがあり、しっかり理解したうえで選ぶことが大切です。
今回は、薪ストーブの5つのメリットと5つのデメリットを、できるだけ分かりやすく解説します!
薪ストーブのメリット
薪ストーブのメリット=薪ストーブライフの魅力です!
1 高い暖房能力をもつ
2 光熱費を削減できる
3 環境負荷が少ない
4 心理的な癒し効果がある
5 停電時でも使用できる
それぞれのメリットについてご紹介します。
1 高い暖房能力
薪ストーブは、一般的なエアコンや石油ストーブと比べて高い暖房能力を持っています。
エアコンの暖房出力が 2.2~5.6kW(約1,900~4,800kcal/h)なのに対し、薪ストーブは 6~18kW(約5,000~15,000kcal/h)と、約2~3倍の暖房能力を発揮します。
特に寒冷地では、広い部屋を一台で暖められる点が魅力です。
薪ストーブの輻射熱である遠赤外線の効果で、体の芯からポカポカと温まるのも特徴です。
また、蓄熱性が高い鋳物製の薪ストーブなら、火を消した後もしばらく部屋が暖かい状態を保てます。

2 光熱費の削減
薪ストーブは、薪を自給できれば、燃料費はゼロになります。
薪を購入する場合でも、1シーズン(4~5ヶ月)で10万~20万円の薪代が相場です。
都市ガス暖房(年間20~30万円)、電気暖房(年間15~25万円)と比較すると、長期的に見るとコストを抑えられる可能性があります。
さらに、薪ストーブを使うことで家全体の暖房負担が減り、エアコンや床暖房の使用頻度を減らせるのもメリットの一つです。
3 環境負荷が少ない
薪は「カーボンニュートラル」と呼ばれ、燃焼時に二酸化炭素(CO₂)を排出しますが、樹木が生長する過程で吸収したCO₂と相殺されるため、環境負荷が少ないといわれています。
また、地域の木材を薪として利用することで木材利用の需要が増えると、山林や木材を活用できる機会も増えます。継続して薪を使用することで、山林が適度に手入れされたり、山林の持つ機能を保ったりすることができます。
このことから、化石燃料(石油・ガス・電気)を使うものよりも、持続可能なエネルギー源を利用する暖房機器として選ばれています。
また、適切に乾燥させた薪を使用すれば、煙や煤の排出が少なく燃焼効率も向上します。

4 心理的な癒し効果
薪ストーブの炎には、「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」と呼ばれる自然界のリズムがあり、心を落ち着かせる効果があるといわれています。
焚き火を眺めるとリラックスできるのと同じように、薪ストーブの炎もストレス軽減やリラックス効果をもたらします。
また、薪を割ったり火をつけたりする作業は、体を動かしたり、家族と協力したり、自然と触れ合えたり、小さなリフレッシュ体験にもつながります。

5 停電時でも使用できる
薪ストーブは電気を使わないため、停電時でも暖房が可能です。
大雪や台風、地震などの自然災害で電気が止まっても、部屋を暖めたり、お湯を沸かしたり、調理に使ったりできるので、非常時にも安心です。
また、炎の明かりが照明の代わりにもなり、夜間の不安を和らげてくれます。
特に寒冷地では、冬期の停電時の暖房手段として優れた選択肢になります。
薪ストーブのデメリット
薪ストーブを設置する際や使用する中で、薪ストーブだからこその問題もあります。
設置後に後悔することがないよう、デメリットも把握し、設置する際にクリアできるように準備をしましょう。
1 初期費用が高い
2 薪の調達と管理が必要
3 煙突掃除などメンテナンスが必要
4 予約タイマーなど便利機能がない
5 近隣トラブルの可能性がある
1 初期費用が高い
薪ストーブの導入には、本体価格と設置工事費用がかかるため、施工費用にまとまった資金が必要です。
● 薪ストーブ本体:20万~90万円
● 煙突工事・設置費用:30万~70万円
● 合計費用:50万~160万円
※ 上記金額は、基本的な施工内容での目安です。
実際には、設置場所に適した設計・施工となり、追加費用がかかる場合があります。
ただし、一度設置すれば長期間使用できるため、長い目で見るとランニングコストは抑えられます。
新築・リフォームの予定がある場合は、煙突工事や断熱工事を併せて施工すると、別々に工事するより費用を抑えることができます。
また、お住まいの市町村で薪ストーブを設置する方向けの補助金制度がある場合があります。事前に確認しておくと安心です。


2 薪の調達と管理が必要
薪ストーブを使うには、1シーズンで約2~4トン(約5~10立方メートル)の薪が必要です。
薪を購入する場合、年間10万~20万円の費用がかかるほか、薪を乾燥させるための保管スペースも必要です。
また、適切に乾燥していない薪を使うと、煙が多く出たり燃焼効率が悪くなったりするため、しっかり乾燥させた薪を確保することが重要です。

3 煙突掃除などメンテナンスが必要
薪ストーブは、定期的なメンテナンスが必要です。
● 煙突掃除(年1~2回):業者に依頼すると1回1万~3万円
● 灰の掃除(週1回程度)
● ガスケットや耐火レンガ、その他消耗部品の交換(数年に1回)
特に煙突掃除は、お手入れを怠ると煤が溜まって煙突火災の原因になることもあります。
そのため、シーズン前にしっかりメンテナンスを行いましょう。
4 予約タイマーなど便利機能がない
薪ストーブは、エアコンや石油ファンヒーターのように自動で温度調整やタイマー設定ができません。
朝起きたときや帰宅時にすぐ暖かいわけではなく、薪をくべて火をつける作業が必要で、部屋全体が暖まるまでに時間がかかります。
そのため、手間を楽しめる人に向いている暖房器具と言えます。
対策として、タイマー機能のある暖房機器を補助暖房として先に部屋を温める時に使用し、その後薪ストーブを焚くという方法があります。
5 近隣トラブルの可能性
薪ストーブは煙や匂いが発生するため、近隣との距離が近い場合はトラブルになる可能性があります。
● 風向きによっては煙が隣の家に流れる
● 住宅密集地では設置が難しい場合がある
● 煙突の高さや設置場所に注意が必要
● 薪割りの際、チェンソーの音などが響くことがある
対策として、適切な薪を使用し、燃焼効率の良いストーブを選ぶことが大切です。
薪ストーブのメリット・デメリット まとめ
● 薪ストーブのメリット
高い暖房能力
光熱費削減
環境に優しい
心理的な癒し
停電時も使える
● 薪ストーブのデメリット
初期費用が高い
薪の調達•管理が必要
メンテナンスが必要
自動予約などの利便性は低い
近隣への配慮が必要
導入前に、自分のライフスタイルに合うかどうかをしっかり検討してみましょう!