希少な青森ヒバで、テーブル用の一枚板を製作しました。
生育期間は200年以上、乾燥期間は30年以上。
種から芽が出て生長を開始してから250年ほどの期間を経て、テーブルとして生まれ変わります。
青森ヒバは他の樹木にはない特異な性質を持つ、青森を代表する樹木です。
もちろん青森県の木は「ヒバ」です。
Yew Villageで保管するヒバは、私の父が、廃業する木工所から譲り受けたもの。
これまで日の目を見ることがなかったヒバが、一枚板として有効活用されることになり、今では懐かしい父の思いもようやく晴れることでしょう。(父72歳…元気に生きているけれど。)
製材
板の反りを修正
桟積され30年以上経過したヒバの原板は、自然と板が反っています。
そこで、まず木の表面を撫でて、反りを修正します。
伐採して間もない木であれば、刃がスルスルと入っていくのですが、さすがに乾燥しきっているので、とても固く、慎重に刃を進めます。
すると、辺り一面ブガブガとヒバの「かまり」(方言で「香り」の意)が立ち込めます。
しかも過乾燥のため、おが粉の粒子も細かく、鼻の粘膜にギットリとまとわりつきます。
1時間も作業をすると、鼻の奥にヒバ由来の鼻クソが生成されます。
今回の作業は、一枚板を購入いただいたお客様に製材やカンナ掛けも含めて体験していただきましたが
一生分ヒバの匂いを嗅いだから、当面ヒバはいらない…
と、お話しされていました。
これから一生、ヒバの一枚板をテーブルとして使うというのに、ここでへこたれて大丈夫?と一瞬思いましたが、それくらい強烈なヒバ臭が五感を刺激します。
厚さを調整
もともとの原板は長さ2,000mm、幅800~1,000、厚さ120mmでしたが、お客様の希望に合わせて製材機を使用して厚さを50mmに調整します。
乾燥が進み、想像以上に固くなっているため、慎重にゆっくりと刃先を進めていきます。
使用しているのは、wood mizer社製のLT15wide
幅900mmまで挽くことが可能なので、一枚板づくりにも活躍してくれます。
しかし、今回の原板は幅が1,000mmあったため、製材前に900mmをオーバーしている箇所をチェーンソーで削りました。
カンナ掛け
製材機で、原板をほぼ真っ二つにすると、一気にテーブル感がでてきますね。
製材機の鋸目を取るために電気カンナで表面をさらっていきます。
電気がんなの後は、やすりをかけて表面を滑らかにしていきます。
最後に、希望する長さ、幅に整えて、ひとまず今回の作業は終了となりました。
今後、さらに細かい番手でさらに研磨を進め、塗料を塗布して完成となります。
樹が生きた日々を 木と生きる日々に
青森の大自然がじっくり時間をかけて育んだ「ヒバ」。
お客様の生活やお子様の成長を日々見守るテーブルとして、生まれ変わることになりました。
ヒバが「樹」として山で過ごした期間は200年以上。
これからは、世代を超えて、暮らしを支える「木」として愛されていくことでしょう。
私たちは、大切な樹を余すことなく適材適所に活かしきるための道筋をつくっていきたいと思います。
一枚板の製作も今後進めていきます。
ヒバについては、ストックに限りがありますので、ご興味がある方は早めにお問い合わせください。